個人事業主として開業した場合、税務署への届出書・申請書のうち「提出が必須なもの」と「提出が任意なもの」とがございます。
提出が任意といっても、提出を失念すると税金を多く収めることになる可能性があるものもございますので、しっかりと確認が必要です。
〈提出が必須なもの〉
・個人事業の開業・廃業等届出書
〈提出が任意なもの〉
・所得税の青色申告承認申請書
・青色事業専従者給与に関する届出書
・所得税の棚卸資産の評価方法の届出書
・所得税の減価償却資産の償却方法の届出書
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
・消費税課税事業者選択届出書
提出をお勧めする届出書
〇個人事業の開業・廃業等届出書(提出期限:開業の日から1月以内)
〇所得税の青色申告承認申請書(提出期限:開業の日が1月1日から1月15日までの場合は 3月15日まで、1月16日以降の場合は開業の日から2月以内)
※青色申告特別控除(65万円・55万円・10万円)などの特典を利用する場合は提出が必要になります。
該当するものがあれば提出した方が良いもの
〇青色事業専従者給与に関する届出書(提出期限:開業と同時に専従者がいる人は上記青色申告承認申請書の提出期限と同様)
※事業主と生計を一にする配偶者その他の親族で、その年の12月31日現在で年齢が15歳以上の者に対する給与を必要経費に算入する場合は提出が必要になります。
(参考)「生計を一にする」とは、同居しているかが判断要件ではなく、生活費を共にしているかによって判断することになります。
〇所得税の棚卸資産の評価方法の届出書(提出期限:令和4年中に開業の場合には令和5年3月15日まで)
※届出書を提出しなかった場合は最終仕入原価法となります。最終仕入原価法以外の方法で評価したい場合は提出が必要になります。
(参考)「最終仕入原価法」とは
【年末に一番近い時期に仕入れた仕入単価】×【年末の棚卸資産の数量】で計算する方法になります。
〇所得税の減価償却資産の償却方法の届出書(提出期限:令和4年中に開業の場合には令和5年3月15日まで)
※届出書を提出しなかった場合は定額法となります。定率法を選択したい場合は提出が必要になります。
(注:建物・建物附属設備・構築物の償却方法は定額法のみとなります。)
〇給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(提出期限:開設の日から1月以内)
※開業と同時に給与の支払いがある場合には、開業届に給与支払状況を記載することにより、こちらの届出書の提出は不要となります。開業後に従業員や専従者に給与を支払うこととなった場合は提出が必要になります。
〇源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(提出期限:特になし)
※給与支払いの人数が10人未満で源泉所得税の納付を毎月ではなく、7月10日と1月20日の2回にしたい場合は提出が必要になります。提出することにより、事務負担はかなり軽減されます。
申請書を提出した月の翌々月納付分から特例が適用されます。それまでは原則通り翌月10日の納付となります。
(例:2月に申請書を提出した場合、4月分の納付から特例が適用されます。1月10日・2月10日・3月10日納付分は原則通り毎月納付となります。)
〇消費税課税事業者選択届出書(提出期限:開業した年の12月31日まで)
※開業した年に多額の設備投資があるなど、あえて課税事業者を選択したい場合は提出が必要になります。
まとめ
今回は個人事業主が開業した場合に提出が必要な届出書・申請書について書いてみました。 特に「該当するものがあれば提出した方が良いもの」に記載した届出書等は判断に迷う部分があるかと思いますので、専門家の税理士にご相談頂くことをおすすめします。