中古資産を取得した場合の耐用年数について(簡便法)

車両購入 個人事業主・法人

減価償却資産を取得した場合、減価償却費を計上するため「耐用年数」の設定が必要になります。
この「耐用年数」については、新品取得と中古取得で計算方法が異なります。
今回は中古資産を取得した場合の耐用年数がどのように算定されるのかを確認していきます。

法定耐用年数の全部を経過した資産

〈中古資産(車両)を購入した場合〉
中古資産の耐用年数:その法定耐用年数の20パーセントに相当する年数(国税庁HPより)

計算式を記載すると下記の通りとなります。

中古資産の耐用年数 = 法定耐用年数 × 20%
※2年に満たない場合には2年とする。

車検証の見本

上記車検証から経過年数および中古資産の耐用年数を計算してみます。

経過年数:2008年10月(初度登録年月)~2022年5月31日(登録年月日の前日) ∴13年8か月

耐用年数表
※今回は運送事業用などではなく、一般用のものとして購入した場合になります。

法定耐用年数:車検証より総排気量が1.98リットル(0.66リットル超)であるため、小型車には該当しない。∴6年

法定耐用年数が6年で経過年数が13年8か月であるため、法定耐用年数の全部を経過した資産に該当。

よって、法定耐用年数 × 20% で計算することになります。

6年(法定耐用年数) × 20% = 1.2年 ∴2年(中古資産の耐用年数)
※2年に満たない場合には2年とする。

法定耐用年数の一部を経過した資産

〈中古資産(車両)を購入した場合〉
中古資産の耐用年数:その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20パーセントに相当する年数を加えた年数(国税庁HPより)

計算式を記載すると下記の通りとなります。

中古資産の耐用年数 = (法定耐用年数 - 経過年数) + (経過年数 × 20%)
※2年に満たない場合には2年とする。
※経過年数とは「車両が初度登録された日」 ~ 「今回この車両を取得した日」までの期間になります。

車検証の見本

上記車検証から経過年数および中古資産の耐用年数を計算してみます。

経過年数:2020年1月(初度登録年月)~2022年5月31日(登録年月日の前日) ∴2年5か月

法定耐用年数は「法定耐用年数の全部を経過した資産」で計算した6年を使用します。
法定耐用年数が6年で経過年数が2年5か月であるため、法定耐用年数の一部を経過した資産に該当。

よって、{(法定耐用年数 - 経過年数) + (経過年数 × 20%)}で計算することになります。
※経過年数が2年5か月(2年×12か月+5か月=29か月)のため、法定耐用年数6年(6年×12か月=72か月)も月単位に変換してから計算します。

72か月(法定耐用年数) - 29か月(経過年数) + 29か月(経過年数) × 20% = 48.8か月
48.8か月を年単位に変換します。
48.8か月 ÷ 12か月 = 4.066・・・ ∴4年(中古資産の耐用年数)
※1年未満の端数は切り捨てます。

登録日と納車日が異なる場合は注意が必要

実際に実務上であった話しなのですが、登録年月日(6月1日)と車検証の上部に記載されている日付(7月1日)が異なるケースがあります。
通常、両者の日付は一致しているケースの方が多いと思われます。

私のお客様のケースでは6月1日が登録日であり、7月1日が納車日でした。
このケースで問題になるのが、事業の用に供した日が6月1日ではなく、7月1日である点です。
減価償却費の計上を開始する日は事業の用に供した日である7月1日からとなります。

このようなケースに該当した場合には、上部の日付が納車日であるのか、又は納車日でない場合、いつの時点の日付なのかを確認する必要があります。

車検証の見本
※登録日と納車日が異なる場合の車検証の見本

まとめ

今回は簡便法による中古資産の耐用年数について記載してみました。
法定耐用年数の全部を経過しているのか、又は一部を経過しているのかで計算方法が異なるため、法定耐用年数および経過年数を正確に把握することがとても重要となります。